荒神山三夜
行動制限のない3年ぶりのゴールデンウィーク、みなさまいかがお過ごしになられたでしょうか?
わたしは「清水次郎長外伝 荒神山」三夜で、久々に講談連続をどっぷり愉しみました。
神田春陽『荒神山』を読む 於:向じま墨亭
5月3日
神田春陽「蛤茶屋」
上の助空五郎 歌と楽器(ボードビル)
神田春陽「お峰の茶屋」
5月4日
神田春陽「飯田の焼打ち」
三遊亭朝橘「茄子娘」(落語)
神田春陽「仁吉の離縁場」
5月5日
神田春陽「仁吉の最期」
柳家緑也「四段目」(落語)
神田春陽「仁吉の焼香場」
向じま墨亭(むこうじま ぼくてい)は2019年5月に開場した墨田区向島地域に根差した小さな寄席です。東武スカイツリーライン曳舟駅から徒歩約8分。鳩の街商店街の一番奥、すぐそばには隅田川が流れ、窓から入ってくる川風が心地よい桟敷席。定員は20名程度でしょうか。
講談の連続読みに毎日通う、いつぶりでしょう?
思い出せないくらいです。
それだけに、集中して聴き通せるたのしみを心待ちにしていました。荒神山も久しぶりです。
口演日程は上記の通りですが、次郎長外伝ではないであろう「飯田の焼打ち」が入っているのは、春陽先生による物語の補完ということでしょうか。本筋と外伝がここで交わり、時系列や人物関係に厚みがでます。
荒神山を聴くのは初めてではないので、もちろん物語の筋や人物は知っています。久しぶりでやや忘れていることはありますが、結末を知っています。ただ今回改めて感じたのは、わたしは物語を再びなぞりに来たのではない、ということでした。講談による表現で、この場所で、この時に、この人で、再び荒神山に出会うこと。この一期一会なのだと。コロナ禍のせいでやや感傷的になっていたのかもしれませんね。
一話ごとに立ち上がってくる人物や進んでいく物語が、日を追うごとにわたしのなかで高まっていくのを感じていました。話に集中し、ぞくぞくするような、でも、少しかなしい結末へ向かっていくさみしさ。
最終日、仁吉の焼香場のいい場面で地震!というハプニングはありましたが、充実の大団円。
日替わりのゲストは春陽先生の交友関係の広さを感じさせる多彩な方々が登場。とてもたのしかったです。
夜の鳩の街商店街をゆっくり歩き、読み終わりのやや高まった気持ちを落ち着かせながら帰りました。
▶優等生ブログの後の世迷言「アントニオ猪木は吉良の仁吉か?神戸の長吉か?」
仁吉の最期の場面、仁吉の亡骸を運ぶために畳が用意されます。せめて畳の上で死なせてやりたい、という仲間たちの気遣いなのですが、ここでムクムクと叱られそうな連想が働いたわたし…
1983年6月2日 蔵前国技館、IWGP決勝リーグ優勝決定戦のアントニオ猪木 VS ハルク・ホーガン。リング場外でホーガンの攻撃を受けて、猪木は脳震盪を起こし倒れます。国技館全体が緊迫の大混乱。困惑しながらも紳士的な態度で場を落ち着かせようとするホーガン。救急搬送の必要が叫ばれ、控室から担架代わりの畳がリング上に運び込まれ猪木が乗せられました。その後、救急車へ。おお、これはまるで猪木が吉良の仁吉、畳を差配した佐山サトルは清水の大政か!? その後、猪木の失神芝居が露見。…なんと、猪木は吉良の仁吉ではなく神戸の長吉だったか…ガックリ膝をつくわたし。「人間不信」と書いた紙を次郎長にたたきつけて姿を消す玉屋の玉吉…
というわたしの妄想。誰か止めて。
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