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​仁義なき戦い 広島死闘篇

●外題: 仁義なき闘い 広島死闘篇(じんぎなき たたかい ひろしま しとうへん)

●種別: 侠客物、※映画「仁義なき戦い 広島死闘篇」を題材とした新作講談

●時代: 終戦後の昭和20~30年頃(1945~1955年頃)
●場所: 広島県広島市
●主な登場人物:山中正治、上原靖子、村岡常夫、大友勝利

●講談版「仁義なき闘い」口演記録

 初演:2020年1月31日(土)

 場所:此花千鳥亭

 出演:旭堂小南陵、旭堂南龍

 監修:今井ようじ(落語作家)

 

 番組内容:

 「仁義なき闘い 広島死闘篇」

  前説(小南陵・南龍)
  旭堂小南陵「靖子の生い立ち」
  旭堂南龍「山中売り出す」

   -仲入りー
  旭堂小南陵「村岡の計略」
  旭堂南龍「山中の最期」

  ※内題はわたしが勝手につけたものです

公演チラシ.jpg
千鳥亭看板.jpg

●あらすじ

 戦後の混沌とした時代、広島の闇市は村岡組と大友連合会の二大勢力により支配されていた。村岡組組長の姪、上原靖子(うえはら やすこ)は戦争未亡人として、村岡組の経営する飲食店を取り仕切っている。そこへ現れたのは山中正治(やまなか しょうじ)。無銭飲食をした山中は、居合わせた大友連合の大友勝利(おおとも かつとし)らに乱暴され大怪我を負う。見かねた靖子は山中を自家で手当てするが、外聞を慮った叔父の村岡常夫は山中を村岡組へ引き取る。組員となった山中は村岡と靖子への恩義のため組への忠誠を誓う。また、大友勝利への報復の思いを強く持つ。

 山中と靖子とはお互い憎からず思っていたことから、いつしか内縁の仲となる。それが村岡の怒りを買い、山中は一時九州の竹原組に身を寄せる。村岡に靖子との関係を認めてもらいたい山中は、組への貢献のために、九州で初めての殺人を犯し、組に復帰を許され広島へ戻る。山中は徐々に名を上げていく。

 村岡組と大友連合会はこれまでお互いの生業に関与せず、友好的に闇市を管理していたが、大友連合会会長の息子である大友勝利は利権を独占しようと動き出す。勝利は新たに博徒大友組を起こし、村岡組と対立するようになる。そこで村岡は靖子をダシに山中を都合よく動かし、勝利を亡き者にしようとする。

 靖子との幸せな生活を願いながらも、村岡の計略にはまっていく山中であった。

人物相関図_4547_image019.png

●所感

​ ノンフィクション小説が原点となっていることもあり、ヤクザ世界独自の言葉や言い回しが多用され、臨場感があります。そして、現代からはやや遠くなってしまった戦後が舞台となっていることもあり、わたしたちには理解が難しがたいこともあります。読み物のなかでそれらが丁寧に説明されているため、この講談で初めて物語に触れる方にとってはとても親切であり、映画をご存じの方にはなるほどと思える内容であると感じました。映画ではもっと多くの登場人物や事象が起こりますが、それらを違和感なくスマートに編集設計し、四話読みきりの連続講談に仕立てられています。

​ 小南陵さん、南龍さんの男女交互での俥読みが、今回の物語である山中と靖子のそれぞれの視点に立った内容で読み分けられています。今回の新作講談と企画が見事にマッチした内容で、2時間集中し充足した会でした。

​今回まとめるにあたり、監修者である今井ようじさんにご協力いただきました。ありがとうございました。

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